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過多月経・貧血

生理時の出血量が
多いとは?

過多月経生理の時の出血量を人と比較することは難しく、出血量が多くてもどれぐらい多いと過多月経という症状なのか判断することは困難です。過多月経とされる目安として、日中でも夜用ナプキンを使わないと間に合わない程の出血がある、ナプキンが1時間も持たない、ゴルフボールくらいの血の塊が出てくるような場合は過多月経と言えます。

以下のような症状は
ありませんか?

  • ナプキンが1時間もたないため心配で頻繁に取り替える
  • 夜用ナプキンでも3時間が限度
  • 大きな血の塊が混ざっている

などの症状がある場合は、過多月経が考えられます。また、出血量が多いため貧血となり、それに伴ってめまいや立ち眩み、動悸や倦怠感などが起こることがあります。

貧血(鉄欠乏性貧血)
とは

貧血血中の鉄分が不足すると、鉄分はヘモグロビンを生成する重要な成分のため、赤血球のヘモグロビンが減少し、酸素が全身に運ばれなくなります。鉄欠乏性貧血になると、めまいや立ち眩み、動悸、息切れ、耳鳴り、顔が青白くなるなどの症状が現れます。

過多月経の原因

婦人科器質性疾患

月経量増加を引き起こす原因として、ホルモンバランスの崩れ、子宮内膜ポリープや子宮筋腫などの良性腫瘍や、子宮内膜増殖症が考えられます。子宮内膜増殖症の一部は、子宮内膜がん(子宮体がん)の前がん病変であることもあり、注意が必要です。また、稀に血液凝固能異常という疾患が見つかることもあります。貧血は慢性的になると心臓や脳に負担がかかり、心筋梗塞や記憶力の低下などを引き起こす恐れがあります。過多月経を閉経までのことと放置せず、疾患の早期発見のためにも、婦人科を受診してください。

子宮内膜増殖症

子宮内膜は、定期的に厚くなり受精卵が着床できるように準備しています。その子宮内膜が必要以上に増殖し分厚くなってしまうのが子宮内膜増殖症です。月経時の剥離する内膜が多くなることで月経量が多くなります。経血にレバーのような血の塊が混ざるのはこのためです。一部の子宮内膜増殖症は子宮体がんの前がん病変のため注意が必要です。過多月経や月経不順、不正出血が気になる方は、一度子宮体がん検診を受けることをお勧めしております。
治療法ですが、悪性度が否定できれば、月経中の止血剤内服のみで経過観察や、黄体ホルモンの周期投与もしくは子宮内放出システム(ミレーナ)が有効です。

子宮腺筋症

子宮筋層内に、子宮内膜に類似した組織が侵入するため子宮筋層が厚くなり、月経時子宮内膜を排出するための子宮筋の収縮に異常があり、経血量が多くなることが考えられます。経産婦に多く見られるほか、筋腫や帝王切開などで手術治療を受けた方に多く起こります。主な症状は他に、酷い生理痛、不正出血、腰痛、腹痛、頻尿などが現れます。治療は、患者様の状態や体質、年齢、将来の妊娠希望の有無などを考慮して決めていきます。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮壁に現れる良性腫瘍です。筋腫のできる場所によって、粘膜下筋腫(子宮内側)、筋層内筋腫(子宮の筋肉内)、子宮頸部筋腫、漿膜下筋腫(子宮外側)に分けられますが、粘膜下筋腫はたとえ1cm前後と小さくても月経量の増加を引き起こします。不妊症の原因にもなります。子宮筋腫による過多月経の治療は、止血剤などの対症療法、ホルモン療法(低用量ピル、偽閉経療法、黄体ホルモン療法など)、手術療法となります。

婦人科機能性疾患

器質疾患のない過多月経には、その原因が女性ホルモン分泌の異常によるものがあります。主に、無排卵性周期症や黄体機能不全などが疑われます。特に多く見られる年代としては、10~20代の若い年代と閉経に近い40代後半とされるため、この年代で経血量の多さが気になる場合には一度受診することをお勧めしております。

内科的疾患

血液疾患など内科的疾患がある場合に過多月経となることがあります。

主な治療方法

対症療法

月経中に止血剤を使ったり、漢方薬で瘀血を改善することで経血量が減ることがあります。過多月経の結果、鉄欠乏貧血が重症な場合は鉄剤の内服や点滴治療をします。器質的疾患がある場合はそちらの治療を優先させた方が効果的ですが、ホルモン療法に抵抗をお持ちでしたり、過去の治療で副作用が強かった場合は対症療法で閉経まで乗り切る方もいらっしゃいます。

子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)

ミレーナ子宮内に黄体ホルモンを放出し続ける治療方法です。黄体ホルモンには、子宮内膜が増えて厚くなるのを抑える作用があります。出血や月経痛を軽減することができます。黄体ホルモンを放出し続ける器具を装着します。一度装着すると約5年は有効となります。

ミレーナ(IUS)
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その他のホルモン療法

黄体ホルモン製剤、ピル(黄体ホルモン・卵胞ホルモン混合剤)、GnRHアナログ製剤、GnRHアンタゴニスト製剤、タナゾール製剤などによる投薬治療で、女性ホルモン分泌のバランスを整えます。患者様の症状や体質に応じて処方します。

手術療法

器質性疾患などで、手術治療が必要となることがあります。疾患の種類や程度、症状のほか将来の妊娠希望の有無などによって手術方法を決めていきます。なお、手術治療が必要と判断された場合には、連携する専門の医療機関をご紹介しております。