妊婦健診
妊婦健診は
大切な健診です
妊娠したら、ご自身の体の健康とお腹の赤ちゃんの発育状態を知ることができる妊婦健診は欠かさず受けることが大切です。妊娠中は、母体も赤ちゃんも大きく変化していきます。流産や早産など何かしらのトラブルの兆候がある場合も、定期的にしっかりと健診を受けていれば早期に発見でき、適切な処置が可能です。お母さんの体調が良くても、健診は必ず受けることをお勧めしております。また、妊娠中の過ごし方や出産への不安など、心配なことがありましたらどうぞお気軽に当院までご相談ください。
初診のタイミング
について
もしかしたら妊娠しているかも?という場合、市販の妊娠検査薬を試して陽性となった場合は、早めに婦人科または産婦人科を受診してください。妊娠の有無を調べることは、ご自身の身体と赤ちゃんの健康状態を早くから守ることができます。また、妊娠が正常かどうかを知ることは非常に重要です。
当院の妊婦健診について
当院は出産には対応しておりません。杏林大学附属病院または慈恵大学附属第三病院にてご出産となるセミオープンシステムに対応しております。
原則産休に入る前の妊娠34週未満までしっかりとサポートいたします。ローリスクかつ産科合併症がない方が対象となります。
- 杏林大学病院または慈恵第三病院に通院するのがご負担の方
- 里帰り出産するまでの妊婦健診ができる医療機関をお探しの方
- の場合、救急対応は出産先の病院がサポートします。
- の場合、当院は救急対応できないため帰省先が遠方の場合はおすすめしません。
妊婦健診のスケジュール
初診で妊娠していると診断をされたら、それ以降は妊婦健診のスケジュールに沿ってご来院いただきます。正常な妊娠と判断された場合は、妊娠5-6週頃に赤ちゃんを包む袋である胎嚢が確認できます。さらに1週間が経つと胎嚢内に胎芽を確認でき、少なくとも妊娠7週には赤ちゃんの心拍が確認できます。
妊娠8週目以降には、分娩予定日を決めることができます。妊娠10週前後に母子健康手帳の交付を受け、いよいよ赤ちゃんと過ごすマタニティライフが始まります。母子健康手帳交付と同時に、妊婦健診の公費助成受診票が自治体により種類や枚数が異なりますが交付されます。公費助成受診票の提示によって、妊婦健診にかかる費用が助成されるのでご来院の際には必ずご持参ください。なお、当院にて妊娠を確認した場合は、妊娠4カ月ごろ出産先の病院へ一度受診していただきます。
妊婦健診・保険診療外診療費用(自費診療)
妊娠初診料 | 5,000円 |
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妊娠再診料 | 3,000円 |
妊婦健診料 | 1,000円 |
助産師外来 | 2,000円 |
胎児エコー | 5,000円 |
4Dエコー追加(平日) | 8,000円 |
胎児診断エコー | 約4,000円 |
妊娠反応検査(陽性) | 2,000円 |
妊娠反応検査(陰性) | 2,200円 |
妊婦健診時の持ち物
- 診察券
- 健康保険証
- 母子健康手帳(交付以降)
- 基礎体温表(妊娠判定時のみ)
妊婦健診の回数
妊婦健診の回数は、数週によって決められています。また、健康状態によって頻度が変わります。
妊娠判定~妊娠11週 | 1~2週間に1回 |
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妊娠12週~23週 | 4週間に1回(1・2・3・4回) |
妊娠24週~35週まで | 2週間に1回(5・6・7・8・9・10回) |
妊娠36週~出産まで | 1週間に1回(11・12・13・14回) |
*当院での健診は妊娠34週未満まで
健診項目について
健診項目
体重、血圧測定、腹囲、子宮底長、尿検査(尿蛋白・尿糖)
保健指導
助産師より妊娠期の基本的情報(婚姻状況および家族構成、就労・経済状況、住居環境など)をお伺いします。経済的または家庭的問題を抱えたまま妊娠生活を送っている方には、市町村の保健師の協力も得ながらサポートさせて頂きます。それぞれの方の妊娠経過に沿いながら、栄養管理や運動、嗜好品など生活習慣に関してのお話しをしていきます。授乳相談はもちろんのこと、妊娠による身体の変化や精神的ストレスなど、妊娠や出産、育児に対する不安や心配事に対してアドバイスを行っております。
妊娠週数別の医学的検査
妊娠12週~23週
- 血液検査(血液型、感染症、血算、血糖値、甲状腺など)
- 子宮頸がん検診
- 経腹超音波検査(適宜、妊娠18,28週に胎児診断エコー)
妊娠24週~35週
- 血液検査(血算、血糖値、HTLV-1)
- 性器クラミジア
- 経腹超音波検査(妊娠28-30週に胎児診断エコー)
- 経腟超音波検査
妊娠36週~出産まで
(当院では行いません)
- B群溶血連鎖球菌
- 血液検査
- 超音波検査
- ノンストレステスト(NST)
RSウイルスワクチン:アブリスボ(妊娠28週~36週)
RSウィルス感染はインフルエンザなどの5種感染症に指定されている重要な病気です。生後1歳までに半数、2歳までにほぼ全員が初感染しますが、特に生後6か月未満では重症化しやすく、肺炎、無呼吸、急性脳症なども引き起こします。日本では毎年3万人が入院となっています。基礎疾患のない正期産のこどもも多く、しかも近年は流行期が定まらない上に、対症療法が基本で有効な治療法はありません。その後の気管支喘息とも関係性も指摘されています。2024年になり、生まれてくる子供のRSウィルス感染症重症化を予防する、妊婦さんに対してのワクチンが製造販売承認されました。RSウィルスに対する抗体がお母さんの体で作られ、胎盤を介して赤ちゃんへ移行します。妊娠24週から接種できますが、妊娠28週以降が効果的です。赤ちゃんの中では生後6か月までの有効性が検証されています。ワクチンによる副作用は注射部位の疼痛のみで、疲労感・頭痛などの全身症状はプラセボと有意差がないとのことで、安心してお受けください。
流産・子宮外妊娠
流産
流産とは、妊娠22週目より前に赤ちゃんが亡くなってしまい、妊娠が終了してしまうことを指します。妊娠したにも関わらず、約10-15%女性が流産を経験し、このうち8割以上が妊娠12週未満での流産となっています。
流産の主な原因として考えられるのは、胎児自体の染色体異常ですので(約70%)、母体の年齢があがると流産率が上がっていきます。流産を繰り返す場合は習慣流産・不育症として検査や治療があります。流産と診断された場合、待機とするか手術を選択するかメリット・デメリットがありますのでよく相談して決めましょう。一度流産を経験した方は、当院では流産成分での胎児染色体検査が保険診療で可能です。
子宮外妊娠
通称「子宮外妊娠」は、学術用語では「異所性妊娠」とされています。本来、子宮内膜内に受精卵が着床しますが、異所性妊娠では卵巣、卵管、腹腔、経管などに着床します。異所性妊娠の約95%が、卵管妊娠とされています。子宮外の妊娠とはいえ、妊娠成立によって無月経となります。また、不正出血が見られることがあるため、月経と間違えたり、月経不順の患者様は判断しにくいとされています。また、つわりに似た吐き気が起こることもあります。特に、卵管に着床して妊娠が成立すると、卵管破裂が起こることがあり、大量出血や出血性ショックによって亡くなることもあるため注意が必要です。
稀ですが内外同時妊娠(異所性正所性同時妊娠)という症例もあります(自然妊娠1/1000、体外受精1/100)。
子宮外妊娠(異所性妊娠)の治療
子宮外妊娠と診断された場合は、多くの場合において腹腔鏡または開腹による緊急手術となります。
手術が困難な部位での妊娠成立や胎嚢がまだ小さいなど時間的余裕がある場合などは、メソトレキセート(抗がん剤のひとつ)を用いた薬物療法が検討されることもあります。
いずれにしても当院では対応できないため、診断後すみやかに治療可能な病院にご紹介もしくは搬送となります。