外陰部のできもの
外陰部にできものや腫れを感じた場合、早めに医療機関を受診することが大切です。できものの種類や原因は様々で、感染症や炎症、腫瘍などが考えられます。適切な診断と治療が遅れることで、症状が悪化し合併症が生じる可能性があります。自己判断を避け、医師の診断を受けることで、安心して適切な対処が行えます。お気軽に当院へご相談ください。
以下に外陰部のできものの原因疾患について記載します。
毛嚢炎・毛包炎
陰毛の毛根を包んでいる毛嚢、毛包に炎症が起こる状態です。細菌や真菌感染が原因とされています。月経中に起こりやすいほか、ムダ毛を自己処理したり、入浴時ナイロンスポンジを使用したりして小さい傷ができると起こります。炎症によって赤く盛り上がった湿疹や膿が溜まった丘疹が現れます。治療は、抗生物質による治療を行います。
バルトリン腺嚢胞
バルトリン腺とは、膣の左右にある分泌腺を指します。バルトリン腺開口部が何らかの原因で閉塞を起こすと粘液が溜まってしまいバルトリン腺嚢胞腫となります。さらに粘液に細菌が繁殖すると、バルトリン腺膿瘍となり痛みや腫れのほか、熱感、発熱、不快感などの症状が現れます。バルトリン腺嚢胞だけでは、ほとんどの場合が無症状のため、治療は必要ありませんが、膿瘍に進行した場合は、太い針を膿瘍に刺し内容物を吸引してから、抗生物質や消炎剤などを用いた治療を行います。この処置は外来にて比較的短時間で終わります。膿瘍を何度も繰り返す場合は、開窓術といって開口部を広げる処置や、嚢胞を摘出する手術があります。
粉瘤
皮膚の下に何らかの原因で袋状の嚢腫ができ、そこに皮脂や垢などが溜まった状態を粉瘤といいます。別名アテローム、表皮嚢腫ともよび、陰部にできることもあります。粉瘤が細菌感染することで炎症がおき、痛みや腫れ、発赤が現れます。さらに進行すると、膿が溜まり膿瘍となり、膿を出す切開手術が必要となります。
接触性皮膚炎
陰部にできる「かぶれ」を接触性皮膚炎と言います。陰部は、下着やナプキンが皮膚に触れることで刺激となり湿疹が起こることがあります。湿疹には痒みやヒリヒリとした痛みが伴います。ストッキングによる締め付けやタイトなズボンやガードル、下着などが刺激物質となります。また、コンドームの使用の際にゴム成分が刺激となることもあります。衣類を身体に合うものに変えたり、外陰部を洗う時は擦らずに優しく洗う、ぬるま湯のみで洗う、布ナプキンを使用するなどがお勧めです。症状が改善しない場合は、ステロイド薬や抗ヒスタミン薬、保湿剤などを用いた治療を検討します。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルスによる性感染症で、単純ヘルペスウイルスには1型 (HSV-1) と2型 (HSV-2) があります。口唇ヘルペスは1型で性器ヘルペスは2型に分類されるとされていましたが、性行為によって性器や肛門、口唇に感染するため必ずしも分類されなくなりました。ウイルスが付着した手指や物に接触するだけで感染するため、性交渉の経験がない場合も感染します。性器ヘルペスは感染リスクが高いため、症状がある場合や潰瘍が起こっている場合は、家族内でも浴室やトイレ、タオルなどの共有は避けてください。主な症状は、2~10日間の潜伏期間後、外陰部に強い痛みが生じ、排尿痛や発熱、リンパ節の腫れ、倦怠感、丘疹、水ぶくれなどが現れます。水ぶくれが破れると潰瘍になり、歩行困難を起こしてしまいます。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって発症する性感染症です。尖圭コンジローマをひきおこすHPV6型と11型は子宮頸がんへの進行はないとされています。潜伏期間は約3週間から8カ月程で、外陰部や肛門、尿道、喉、下にカリフラワーのようなイボが出現します。尖圭コンジローマは再発を繰り返す性質があるため、根治するまで治療を継続することが大切です。また、妊娠中に尖圭コンジローマになると出産時に乳児へ感染してしまうため、妊娠中で気になる症状がある方は早めにご相談ください。ヒトパピローマウイルス6型と11型はワクチン接種で予防することができます。ご希望がありましたら、当院までお気軽にお問い合わせください。
尿道カルンクル
尿道出口の肛門側にできる良性腫瘍です。米粒から豆粒大の赤色のやわらかいできもので、出血や異物感、痒み、痛み、排尿障害などの症状が起こります。更年期以降の女性に見られることが多いです。主に、外用薬治療を行いますが、できものが大きい場合や症状改善が見られない場合には、手術治療を検討します。
よくある質問
外陰部のできものがかゆいのですが、何か対処方法はありますか?
かゆみがある場合、かゆみを引き起こす原因によって対処方法が異なります。医師に相談して正しいケア方法を得ることが大切です。
外陰部のできものが痛い場合、どうすれば良いですか?
痛みがある場合は、その原因によって適切な対処方法が異なります。自己判断せず、医師の診断とアドバイスを受けることが大切です。
できものは自分で治せるのですか?
外陰部のできものは、原因や種類によって自然に治ることもあれば、専門家の治療が必要なこともあります。医師の指導に従って対処することが重要です。
できものが再発することはありますか?
外陰部のできものは再発する可能性がある場合もあります。適切なケアや生活習慣の見直し、医師のフォローアップを受けることで再発を予防できる場合があります。
外陰部のできものが腫れている、出血しているので何か対処方法はありますか?
腫れや出血がある場合は、感染や炎症など原因を特定する必要があります。自己判断せず、早めに医師の診断を受け、必要な治療を行うことが大切です。