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性感染症(性病)

性感染症について

性行為が原因で感染する病気を総称して、性感染症と言います。性感染症は、将来の妊娠に大きく影響を及ぼし、不妊や流産などのリスクが伴うため注意が必要です。性感染症にかかってしまったら、感染を繰り返すのを防ぐためにもパートナーと一緒に治療をする必要があります。近年増加している性感染症は、クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、カンジダ膣炎、淋病、トリコモナス膣炎、エイズ(HIV)、梅毒などが挙げられます。オーラルセックスやアナルセックス、キスなどで感染し、性病と呼ばれることもあります。コロナ禍以降、20代前半女性の性感染症の罹患率が急増しています。

性感染症の検査に
かかる費用

性病検査一式 培養検査・HIV・梅毒・クラミジア(経腟)・淋菌(経腟)・B型肝炎・C型肝炎 16,500円(税込)
追加検査 クラミジア(咽頭)・淋菌(咽頭) 5,500円(税込)

主な性感染症とは

クラミジア感染症

最も多くみられる性感染症で、性行為によって尿道、子宮頸管、のど、眼などに感染します。クラミジアに感染すると、女性の場合は子宮頸管炎から腹膜炎に進行することや、不妊症に関係することがあります。

症状

潜伏期間は3日~1週間です。自覚症状がない場合がほとんどですが、おりものの粘性が高くなったり、量が増えたりします。右上腹部や下腹部に痛みが起こるほか、不正出血が起こることもあります。

リスク

クラミジア感染症は、重篤な場合には骨盤腹膜炎や、肝臓周囲にまで炎症が波及することがあります(Fitz-Hugh-Curtis 症候群)。そのため、不妊症や子宮外妊娠など将来の妊娠に影響を及ぼすことがあります。妊娠中に感染すると、流産や早産になることや、未治療のまま出産に至ると新生児に感染して新生児結膜炎や新生児肺炎となることがあります。

検査と治療

子宮頚部の粘液の抗原検査、血液検査による抗体検査があります。治療は抗生剤を用います。

淋病

性行為による性感染症です。セックス、オーラルセックス、キスで感染します。近年では喉への感染が多く見られます。

症状

女性の場合はほとんど自覚症状がなく、感染しても気づかないことが多いのですが、おりものが黄色くなる、外陰部に痒みや腫れが生じる、喉の炎症などの症状が現れることがあります。一方、男性が感染すると、激しい痛みが現れるため パートナーの感染が発覚してから女性側が診断されるケースも多く見られます。

リスク

女性は自覚症状がないまま病気が進行することがあります。慢性化すると、子宮内膜炎や卵管炎、淋菌性膣炎などを起こします。将来の不妊症のリスクが高まります。

検査と治療

おりものを採取して検査します。治療は、抗生剤による点滴治療を行います。

性器ヘルペス

皮膚の違和感、外陰部の強い痛み、排尿痛、発熱、リンパ節の腫れ、鼠径部の腫れ、倦怠感、丘疹、水ぶくれなどが現れます。外陰部や膣にできた水ぶくれが破れると潰瘍になり、歩行困難や排尿障害などを起こすことがあります。

症状

皮膚の違和感、外陰部の強い痛み、排尿痛、発熱、リンパ節の腫れ、鼠径部の腫れ、倦怠感、丘疹、水膨れなどが現れます。外陰部や膣にできた水膨れが破れると潰瘍になり、歩行困難や排尿障害などを起こすことがあります。

検査と治療

目視で水疱や潰瘍を確認できます。その他、血液検査、抗原検査を行い感染の有無を確認します。治療は、抗ウイルス薬を用いて治療します。

尖圭コンジローマ

性行為によって感染します。ヒトパピローマウイルス感染が原因で、症状が消えても再発する恐れがあるため、治療を継続することが重要となります。

症状

潜伏期間は3週間~8カ月です。外陰部、肛門、尿道、喉にイボができます。病気が進行すると、小さいイボの集まりが大きくなり、カリフラワーのようなできものが現れます。その他、痒みや熱感、性交痛などが起こります。

検査と治療

顕微鏡検査でイボの組織を調べます。治療は、軽度の場合は軟膏や凍結療法を行い、重度の場合は切除手術を検討します。

カンジダ膣炎

カンジダカンジダ膣炎は、カンジダ菌という真菌が原因で引き起こされます。カンジダ菌は、健康な女性でも皮膚や口内、腟などに存在する常在菌ですが、性交渉や、風邪や疲労、ストレス、抗生剤内服時、月経などで常在菌のバランスが崩れ、カンジダ菌が優位になることで症状を引き起こします。

症状

膣部の痒みが現れます。おりものが白くカスのようになり、おりものによって外陰部がただれてきます。

検査と治療

おりものの性状を観察しただけで診断がつくことも多いですが、難治性のカンジダ菌もあるため、おりものを採取して培養検査を行います。治療は、抗真菌剤の膣剤を使用します。外用薬を併用することもあります。糖尿病の合併など免疫不全傾向のある方は、難治性となることがあり、その場合は抗真菌薬の内服を行います。

トリコモナス膣炎

寄生虫(トリコモナス原虫)が膣内に侵入して炎症を起こします。膣内の自浄作用が下がるため、あらゆる感染症にかかりやすくなってしまいます。

症状

外陰部の痒み、おりものが黄色や緑色になる、泡状のおりものが出る、おりものの臭いが強くなる

検査と治療

尿やおりものを採取して顕微鏡検査を行います。治療は内服薬治療を行います。

梅毒

梅毒トレポネーマを原因とする、性行為、血液感染、母子感染により広がる性感染症です。皮膚や粘膜より侵入し、血液内に進行します。妊娠中の女性が感染すると、胎盤から胎児に感染して先天梅毒となり、流産・早産・死産につながったり、難聴や知的障害などが出ることがあります。近年、若い女性の間で爆発的に増加しており注意が必要です。

症状

時期によってそれぞれ症状が変わります。

第1期

潜伏期間10~90日経過後に、しこりが現れます。次第に潰瘍となりますが、数週間で消失して痕が残ります。

第2期

全身に赤い湿疹が現れます。髪の毛が抜け始めます。梅毒性脱毛と言って、だいたいはこの段階で感染が分かります。

第3期

感染後2~3年後には筋肉や骨、内臓にゴム腫という結節ができます。結節がさらに大きく増えてきます。

第4期

感染後10年後には、中枢神経や心臓、血管が侵されます。大動脈瘤や大動脈中膜炎、進行麻痺、痴呆などの症状が起こり、次第に思考力低下、記憶障害、妄想、全身麻痺などを起こして、治療せずに放置すると命を落とします。

検査と治療

血液検査を行います。感染後7~8週間経過で検査結果が分かります。治療は、抗生剤を用いた治療を行います。

エイズ(HIV)

エイズ

性行為のほか、血液感染、母子感染による性感染症です。HIVは、ヒト免疫不全ウイルスと言って、免疫細胞に感染することでエイズを発症させます。エイズは後天性免疫不全症候群とも言います。感染してしまうと、その他の感染症を発症しやすい性質があります。

症状

2週間の潜伏期間後、発熱、筋肉痛、リンパ節の腫れ・痛み、湿疹、倦怠感などの症状が起こります。これらの症状は、数週間で治まります。初期症状が治まって無症状期を過ごした後、指定された23疾患のうちいずれか1つでも発症した時点で、HIV(エイズ)と診断されます。無症状期は数年から10年程続きます。

検査と治療

HIV抗体スクリーニング検査を行います。感染した日と考えられる日から3カ月以上経っていれば正確な結果が分かります。HIVは根治まで導く治療はありませんが、発症するのを長く防ぐことは可能です。抗HIV薬を正しく服用することが重要です。また、発症してもすぐに死に至るというわけではなく、治療を継続することで長く良好な状態を保つことが可能です。

性感染症の予防

性感染症の予防は、正しいコンドームの着用が有用です。また、不特定多数との性行為は禁物です。特定のパートナーまたはリスクの低い相手との性行為の際も、清潔を保ち、衛生面に十分気を付ける必要があります。また、生理中は免疫力が低下しているため性行為をしないでください。
性感染症は身近な感染症です。早期治療によって重症化を防ぐことができます。また、パートナーも同時に治療を行うことは再感染の予防にも繋がります。しっかりと治すことが重要です。